体の中の「シーソー」を上手に働かせよう

「交感神経、副交感神経が、疲れとどう関係があるの?」そう感じた人もいると思いますが、じつは、これが大いに関係があります。交感神経と副交感神経を併せて自律神経といいます。自律神経とは、人間の活動と休息に合わせて、体の各組織を無意識のうちに調整している神経のことです。

交感神経とは、おもに昼間に働きます。人が活動する時や運動をしている時に活性化し、「元気はつらつ」「やる気まんまん」の状態をつくり出す神経と考えればよいでしょう。具体的には、心臓に働きかけて拍動を速くし、血管を収縮させて血圧を上げます。呼吸も速く浅くします。こうすることで、心身共に興奮状態をつくり、活発に活動しやすくするのです。

活動時は、体に傷をつくることなども多くなるので、傷から侵入する細菌などの外敵から体を守る必要も出てきます。そのため、交感神経が活性化すると、体を外敵から守る「白血球」のうち、細菌などを攻撃する役割の「穎粒球」が増えます。副交感神経は交感神経の逆で、おもに夕方から夜にかけて働きます。人間が休む時や、食事をした時に活性化して、「ゆったり気分」「のびのびリラックス」の状態をつくり出す神経です。

具体的には、心臓の拍動を遅くし、血管を拡張させ、呼吸を深くゆっくり安定させます。食後に胃腸の働きを活発化させて消化を助ける役割も果たします。食後は、すぐ行動を起こしにくいものですが、それは心身共に、穏やかな休息に適した状態をつくり出しているからです。

また、休息時、体内では、白血球の一種の「リンパ球」が、がんなどの異常細胞を攻撃して体を防衛、メンテナンスしています。リンパ球は、食事によって体内に入ってくる異物から体を守る働きがあり、副交感神経は、このリンパ球を増やす働きもあります。人間の体は、このように、自律神経によって、体中の細胞を極めて合理的に調整し、活動時と休息時に適した体調をつくり上げているのです。

交感神経と副交感神経は、通常は措抗関係にあり、シーソーのように交互に活発化して、体に働きかけています。どちらか一方が働いた後は、必ず揺り戻しがきてもう一方の神経が働き始めることを繰り返すわけです。このようにしながら、活動と休息のリズムをつくって、体の調子を整えています。このシーソーの働きがうまくいっている時は、生活にメリハリがつき、体調もいい状態が続きます。

ところが、シーソーの働きを無視して、働きすぎたり、リラックスしすぎたりといった生活を続けていると、一方の神経だけが優位になり、もう一方の神経タイプに戻りにくい体質になっていきます。こうなると、偏った側に特有の疲れが現れ、その先に病気が待っているのです。前ページのチェックリストで、項目AとBのチェック数の差が大きいほど、チェックが多くなったタイプへの偏りが激しいと考えてよいでしょう。

— posted by ソラヒト at 12:51 am